本当は判決文がちゃんと出てからまとめたかったんですが、いったんまとめます。
Webには判決文が今のところ出てないので、このまま出なかったら閲覧申請にでも行こうか迷います。
判決文が出ていたので追記しておきました
事件のあらましと判決
Webサイトの閲覧者に仮想通貨をマイニングしてもらうことで収益を得られるツール「Coinhive」を、閲覧者に無断で自身のサイトに設置したとして、不正指令電磁的記録保管罪に問われた男性に対し、横浜地裁は3月27日、無罪を言い渡した。検察側は罰金10万円を求刑していた。
判決では、男性がCoinhiveを設置した際、閲覧者の同意を得る仕組みがなかったため「人の意図に反する動作をさせるべきプログラム」とした。一方、消費電力の増加や処理速度の低下といった閲覧者への影響は、Webサイトに表示される広告と比べても「大きく変わらない」と判断。「不正な指令を与えるプログラムと判断するには、合理的な疑いが残る」と結論付けた。
3月27日に無罪の判決が出ました。
判決全文は出ておりませんので、全面的にWebサイト上にマイニングツールを設置することが容認されたとは考えないほうがいいです。
今回の事件のあらましについては御本人のブログにも記載されています。
仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話 - Webを楽しもう「ドークツ」
解説
弁護士ドットコムにて解説が行われていましたので抜粋させていただきます。
全文については引用元を御覧ください。
コインハイブ事件で無罪判決 弁護人「警察の暴走、食い止められることを願う」 - 弁護士ドットコム
今回のコインハイブのプログラムは、▼マイニング実行について同意を取得する仕様になっていなかった▼一般的なユーザーの間でコインハイブが新たな収益化の方法として認知されていたとは認められない
▼男性が設定した負荷の程度から閲覧者はマイニングに利用されていることに気づくことはないーーなどから、「サイト閲覧者が閲覧前にマイニングを認知していた、または閲覧中にマイニングに気づいていたものの容認したとみることは到底できない」と指摘。
「マイニング実行をサイト閲覧者などの一般的なユーザーが認識すべきと考えられるものということはできない」と判断し、人の意図に反する動作をさせるべきプログラムと認定した。
コインハイブについては、広告類に変わる新たな収益化の方法として導入されたものであり、「CPUを用いて手軽にマイニングを実行できる点に特色がある」としながら、閲覧者は報酬であるモネロを得られず、同意や意思確認の機会を与えられず回避する可能性もないまま実行させられている部分について「一般的なユーザーの信頼を損なっていることも否めない」と評価。
マイニングが実行されると「消費電力の増加や処理速度の低下などの影響が生じる」ものの、その程度について「広告表示プログラムなどと大きく変わることがないもの」とし、ブラウザを閉じればマイニングの実行も終了されること、ユーザーの評価が賛否両論に分かれていたことなどから「プログラムコードが社会的に許容されていなかったと断定することはできない」と判断。
「マイニングが実行されると「消費電力の増加や処理速度の低下などの影響が生じる」ものの、その程度について「広告表示プログラムなどと大きく変わることがないもの」とし、ブラウザを閉じればマイニングの実行も終了されること」とあるのが重要だと思われます。
既存の広告表示プログラムと消費電力の増加や処理速度の低下が大きく変わらなかったので、無罪の判決に至ったのかもしれません。
確かにコインハイブのプログラムはJavascriptなのでブラウザを閉じれば影響はありませんが、もし消費電力やCPUの占有が大きくPC本体の動作低下に繋がる場合は有罪の可能性もあったような解説です。
調べてみるとコインハイブの設定を変更することでCPUの使用率を変更することが可能だったらしいです。
PCの性能によりますが、古い型のPCを使用していた場合CPUを50%も占有されたら動作は重くなります。
今回のコインハイブ事件ではCPUをいくつで設定しているかは不明です。
無限アラート事件もありましたが、警察が古い型のPCを使っている可能性が高く、検挙・逮捕に踏み切る一因になっているような気もします。
判決文
判決文がありましたので、載せておきます。
Coinhive事件の判決文です。固有名詞などは一部抜きました。https://t.co/oNcExxuMIp
— スドー🌸 (@stdaux) 2019年4月15日
まとめ
この事件が無罪になったからと言ってWebサイトでの全てのマイニングが容認されたと思わないようにしてください。
広告と違ってマイニングツールは「画面を開いている限り動作」するので個人的にはあまり増えてほしくないです。
CPUの使用率を各10%なんてやられた日には10のWebサイト開いただけでCPUが100%になってしまいます…
現状が無罪でも広告代わりにマイニングツールを仕込むサイトが増えた場合、規制される可能性は高いと思われます。
参考
- Coinhiveで“無断採掘”に無罪判決 横浜地裁 - ITmedia NEWS
- 仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話 - Webを楽しもう「ドークツ」
- 高木浩光@自宅の日記 - 魔女狩り商法に翻弄された田舎警察 Coinhive事件 大本営報道はまさに現代の魔女狩りだ
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